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高圧水銀灯の効率のよさを維持

メタルハライドランプは、高圧水銀灯の効率のよさを維持しつつ演色性を改善したランプである。現在ではもっとも太陽に近い「白い光」を放つ、もっとも明るい明かりとなった。発光管のなかに金属(ナトリウム、リチウム、タリウム、インジウム、希土類元素など)とハロゲン(ヨウ素、臭素など)からなる化合物を封入している。これらの金属ハロゲン化物(メタルハライド)は、電極間のアーク放電(約5000K)で金属原子とハロゲンに分かれ、金属特有のスペクトルを放射する。金属原子とハロゲンは温度の低い発光管の内側で再び結合して金属ハロゲン化物に戻る、というサイクルをくりかえす。ハロゲンランプにおけるハロゲンサイクル(第4話で説明した)と同じような巧みな仕掛けがなされているのである。メタルハライドランプは高出力で80〜100ルーメンノワットと高い効率をもち、金属ハロゲン化物をどれにするかによって、さまざまな色の光を設計できる。このために、自動車のヘッドランプ、液晶プロジェクターの光源、街路や公共施設など急速に用途が広がっていて、HIDランプの代名詞になりつつある。ナトリウムランプは、ナトリウムの蒸気圧が低いときは黄色(589・0ナノメートル、589・6ナノメートル)の鋭いピークをもち、ナトリウムの蒸気圧を上げていくと、スペクトルは可視光の領域に広がって、黄白色の光となる。低圧ナトリウムランプは単色ではあるが、現在もっとも効率の高いランプで、170〜200ルーメンノワットに達している。高速道路のトンネルに入ると突然に眼に入ってくるあの檀色の明かりである。高圧ナトリウムランプは低圧ナトリウムランプよりも効率が低くなるとはいえ、120〜140ルーメンノワットと高い効率をもっていて、演色性は悪いものの、寿命が長いために、広場や工場、体育館などの広い場所での照明として使われている。HIDランプは効率が高いとはいえ、超小型にできなかったり、点灯や再点灯に時間がかかったり、光源そのものがきわめて明るくまぶしすぎ、明るさの調節がむずかしいという炭素アーク灯以来の不便さをもっているために、一般家庭にまで普及するのはなかなか困難である。蛍光灯とくらべてもはるかに高価である。その意味で「白い光のイノベーション」とは言いがたいものの、HIDランプは蛍光灯や電球と棲み分けて社会を照らしていく画期的な技術であることは間違いない。