パンツの裾も、ネクタイの結び方と同じで、世代的には折り返しをつけないシングルの人が多数派だ。私はいくつかの理由で、パンツは、フォーマル以外は折り返したほうが魅力的に見えると思っている。フォーマル以外としたのは、歴史的な意味からいえば、シングルはよりフォーマルな着こなし、ダブル(折り返しつき)はスポーティな着こなしという性格を備えているからである。ダブルのはじまりは、雨の日に裾が汚れないように折り返したことからという説がある。それゆえ、フォーマルウェアではシングルが正しい。折り返しの第一の美点は、折り返しをつけた重みでパンツの折り目がストンとキレイに落ちていくことだ。第二の美点は、シングルよりも裾が重い分、靴の甲に乗ったときに収まりがよくなる。そして第三の美点、これは、ダブルにしたほうが着こなしを「わかっている」と思われるからだ。なぜかというと、あまりお洒落に興味を持っていない男は判で押したようにシングル仕上げを好む傾向があるためである。さて、折り返しでしばしば話題となるのは、幅を何センチにすればいいのか、ということだ。そのときどきの流行にもよるし、なにより着手の体格やパーソナリティによって違ってくるので、一概に何センチでなければならない、という基準は設けにくいが、一般的には四センチから四・五センチが時代の標準といえる。この幅はオーバー五〇世代の青春時代よりも太くなっていることを付け加えておきたい。
[参考]
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