とにかく何か起こるかわからないのが撮影の現場です。たとえば着物の着付けが必要な撮影の場合、通常は着付けとヘアメイクで一時間という時間をとっていますが、以前ある女優さんがインの時間を勘違いして、三〇分遅れでやって来てしまったことがあります。急ぎ着付けの人に要する時間を確認すると「一〇分ください」とのこと。すると私の持ち時間は一五分しかない。その中で、いつもと同じスタイルに仕上げなければなりません。すぐさま頭の中でヘアとメイクの時間配分を考え、八分で髪を結い上げ、七分でメイクを仕上げるという荒技で乗り切ったこともありました。こうした時間との戦いは日常茶飯。撮影と撮影の合間に手早くヘアメイクを修正したり、通常の半分しか時間がない中で仕上げなければならなかったり。だからこそ臨機応変で、かつ確実であることを鍛えられたし、創意工夫も生まれたと思っています。