Lさんの住まいは、幅の狭い鉄骨造四階建てで、一階と二階は自身の店舗、三階と四階を自宅に使用しています。一年ほど前から、隣地で地下一階・地上四階建ての工事が始まりました。その工事は、杭打ち、地下室部分の掘削とつづき、土を掘り下げたままの状態で、何かの都合があってか、三ヵ月ほど工事が中断されました。その、ぽっかりと口を開けたままの現場を見るたびに、Lさんには何となく自宅のビルが隣地側へ傾いているように思え、心配になって私どもに相談に見えたのです。
[参考サイト]
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相談を受けた私たちは、U住設会社へ出向いて状況を説明し、両者の立会いで調査を行ないました。その結果、U建設会社もLさんの建物が工事中の敷地側へ少し傾いていることを認めたのです。原因を調べると、この工事では、次のような事前の人念な調査や説明が行なわれなかったようです。(1)予定地でのボーリング調査などによる土質や固い地盤の位置、地中の水面位置の確認(2)隣家(ビル)の規模、地下室の範囲、骨組の方法や杭打ちの有無(3)周辺建物のタイルやモルタルの亀裂の状況などを写真などで詳細に記録すること(4)周辺の既存建物の所有者や入居者に工事前、工事中に充分に説明すること。これらは、設計者・工事監理者・工事会社・現場衣任者のもっとも大切な仕事のひとつですが、もちろん、建て主も無関心であってはならないのです。