消費社会の形成史と通信販売の発達史を重ね合わせてみたい。四五〜五〇年代(モノ、カネともに不足していた復興期)→月賦の時代六〇〜七〇年代(モノ、カネともに充足しつつあった高度成長期)→現金の時代八〇年代(モノ、カネともに過剰ぎみだったバブル期)→カードの時代敗戦まもない四五〜五〇年代は、モノも不足していたが、それ以上に消費者側にカネが不足している時代であった。当然のリアクションとして、小売側は客を選別し、あるいは育成しなければ商売が成り立たない時代であった。私の個人経験でいえば、1958年に初めて緑屋の月賦を利用する場面で、まるで殺人犯取り調べ室にいるような気分を味わった。月賦を適用してもらうには、本人どころか保証人も含めて大変な審査を要する時代だったのだ。わずかなアルバイト収入しかない貧乏学生は大変やっかいな顧客だったのたちなみに、そのときの購入商品は背広上下。出版社の長期アルバイト用にどうしても必要だった。